そうたの感心した様子をみて、
雪虫はふわりと舞い上がりました。
「ね。わかった?わたしもこれから巣の仕度があるから、さよなら」
雪虫はそういって、
古いヤチダモの木がならぶ公園にむかって飛んで行きました。
「雪が降るんだ。明日から手袋をしようっと」
そうたは、つめたくなった手に
はあっと息を吹きかけました。
そして雪虫が見えなくなるまで見送った後、また走り出しました。 〜おわり
そうたの感心した様子をみて、
雪虫はふわりと舞い上がりました。
「ね。わかった?わたしもこれから巣の仕度があるから、さよなら」
雪虫はそういって、
古いヤチダモの木がならぶ公園にむかって飛んで行きました。
「雪が降るんだ。明日から手袋をしようっと」
そうたは、つめたくなった手に
はあっと息を吹きかけました。
そして雪虫が見えなくなるまで見送った後、また走り出しました。 〜おわり
「もう、街はすっかり寒いでしょう?
わたしたちの卵がちゃんと冬をこせるような
立派な木を探しにきたの」
「そう。それで、何がいちばん雪?」
「うん。わたしたちはそれぞれが
いちばん最初にあった誰かに、
もうすぐ雪がふりますよってしらせるの」
「へえ、そうなんだ」 〜つづく
ゆっくりゆっくり。
「いちばん雪、たべちゃえ。あ〜ん」
そうたは、丸めていた背中をぴんとのばし、
空に向けて大きな口をあけました。
「だめだめ!たべないで。よくみてよ」
突然、目の前の雪が小さな声でしゃべり出しました。
「うひゃっ」
驚いたそうたは、まるで小猿のような叫び声をあげ、
そのまま冷たい歩道にしりもちをついてしまいました。〜つづく
昨日までの冷たい雨もやんで、
今日は朝から晴れた一日でした。
「ふう、手がつめたいよ」。
そうたは立ち止まると、にぎりしめた手に、
はっはっと息を吹きかけました。
さっき、学校の門をでてから
ずっと走って体はポカポカしてきましたが、
しめった手とほっぺたにあたる空気は、
もう冬の冷たさです。
「今日のおやつ何かな。
あったかいココアがのみたいなあ」
いそいで帰ろうと、近道の公園を
走り抜けようとしたとき、
空から白い綿のような
小さな粒が落ちてくるのが見えました。 〜つづく
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前のブログからのお話を少し移行更新したいと思います
今日からのタイトルは「いちばん雪」全6回
下記は2015年11月、最初に掲載した時の文章です