2024年4月10日水曜日

森へ行きましょう

 

展示会の時には、毎回一つ展示用の粘土作品を作っています。
このフクロウは以前空とぶ絵本展の時に制作したものです。
今年は秋に個展をします。
次は何の立体にしようか考え中。
絵の展示は秋発売予定の絵本の原画を展示します。

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2015年6月のブログより

<石粉粘土、発砲スチロール、他>

「空とぶ絵本展vol.6」では初日にマンドリングループ

プレットロ・ピッコーラ・マーノのみなさんによる

オープニングレセプションコンサートを開催。

 

コンサートをイメージした作品として、

私はこの森の動物のマンドリンコンサートステージを粘土で、

剣持さんは演奏曲のイメージ画を数枚飾りました。

 

この作品は5名の演奏家のみなさん、うさぎのマネージャーさん、

そして演奏を聴きに会場を訪れたお客様たちが

それぞれ楽しんでいる様子を見ていただけるよう

私自身も楽しみながら制作しました。

そしてこれらの作品を展示している前で、

演奏家のみなさんが楽しい演奏を披露してくださいました。

4回の空とぶ絵本展でも開催され、大変好評でしたが、

今回も、それはそれはすてきなオープニングとなりました。

2024年3月17日日曜日

みてきた展示

 

あれこれやらなくては、な日々ですが、
せっかく札幌で面白そうな展示があるのに
いかないわけにはいかない。
行ってきました。
「あさきゆめみし」「日出処の天子」展。
原稿一枚一枚小さなコマの中、
手書きで引かれた美しい線に、うっとり。

2024年3月11日月曜日

粘土の人形制作

 

『人形や珈琲店』でとむさんが手に持っているスケッチブックは

薄く伸ばした粘土に白い針金を巻いています。

 

この粘土はとても柔らかいものなので、

全体の形を変えようと力加減を間違えて掴んでしまうと

そのまま変形してしまい、

なかなか納得がいく形に出来上がりません。

これは一旦固まってしまった方が

じっくり形を整えられると考えました。


このことがあって、

数年後、絵本制作で立体を検討した時には

素材は他のもので制作しようと思いました。

「ひげのさきまであったかいもの」では

乾燥すると固まる石粉粘土を使用して制作しました。

2024年3月9日土曜日

人形や珈琲店10(全10)

 
とむさんは、かたかたと震える手で
コーヒーを一口飲むと、
急いで玄関へ向かいました。
「ご、ごちそうさま。」
「おや、もうお帰りですか。」
 
店主は少し残念そうでしたが、
あきらめたようにうなずいて、
とむさんにこうもり傘を手渡しました。
 
外に出ると、雨はもう小降りになっていました。
駆け足で進むとむさんの背中にむけて
「また、お待ちしています。」
と声がしました。
 
振り返ると、店の入り口で
手をふる店主の姿が見えました。

キラリ。
その右手の先から、雨のような細い糸が、
空に向かってのびていました。〜終わり


2024年3月8日金曜日

人形や珈琲店9(全10)

「うわああ。」

足元の人形達につまずきそうになりながら、

急いで一階に下り、

あわてて自分の両手を確認しました。

さっき見えた細い糸はもうありません。

右手には、しんの折れた鉛筆。

左手には小さなスケッチブックを持っているだけです。

 

カウンターにはできたてのコーヒーが

良い香りをたてていました。

 

「良い絵はかけましたか?」

店主は、とむさんの折れた鉛筆を見ながら

ほほえむと、湯気のたつ

小さいカップを差し出しました。

後ろの階段を見ると、

まだ人影がゆらゆらと揺れています。

 

〜つづく

(9/10) 次回最終話。


 

2024年3月7日木曜日

人形や珈琲店8(全10)

少しずつ奥に進んでいくと、部屋の隅に鏡がかけられていました。

そのすぐ下に置かれた人形を見ていたとむさんは、

急に体がうまく動かなくなりました。

(両手が重くて上がらないぞ。

 雨にあたって風邪でもひいたかな……)

そっと顔をあげると、

鏡の中にはいつもの自分の姿が見えます。

でもなにかがおかしいと感じました。

 

スケッチブックを持つ左手と、

鉛筆を持つ右手から、それぞれ

一本の細い糸が垂れています。



つつっと、両手が天井に向かってひっぱられると、

右手に持った鉛筆の芯が

パキッと軽い音をたてました。

 

「わっ。」

とむさんは声をあげると

階段に向かって走り出しました。

 

〜つづく

(8/10)


2024年3月6日水曜日

人形や珈琲店7(全10)

左右の壁際には、

うねうねとした模様がうかぶ、

木彫りの低い棚がならんでいます。

その上に自分たちの出番を待つ

大小さまざまな人形が、

糸をたらして静かに座っていました。

 

ぼんやりくすんだ灯りのもと、

棚やテーブルにのっている人形達は、

顔だけが浮かび上がってみえます。

小さな顔の一つを見下ろすと、

長いまつげは真っ直ぐに正面を

見つめていました。

 

あの目が動いて、

急にこちらを向くのではないだろうか。

とむさんは、そんな気がして、

なかなか目をそらすことが

出来ませんでした。

 

〜つづく

(7/10)