すずの音風の音
かわむらすずみ絵本blog すずのねかぜのおと
2023年2月28日火曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話12(全15)
でね。川の流れがはやくて、みるみるうちに
例のでこぼこが削られていって。しまいに、どんぐりくらいにまあるくなっちゃいましてね。でも、そうなるとよくよく磨かれたみたいにキラキラ輝いて見えましたよ。
それから星の子は、流れに浮かびながら、
それは気持ち良さそうに、ピカリピカリとやさしく歌い出しました。
さらさら ひんやり 水の中
なんだか 夜空 みたいだよ
そよそよ ひんやり 風が吹く
ほらほら 夜空 みたいでしょ
〜つづく
2023年2月27日月曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話11(全15)
何って。いやあ、あわてましたよ。
飛び起きて音のしたほうを見るとね。
穴から転がり出した星の子が、
川に落ちてながされていくじゃないですか。
実はわたし、全然泳げなくってねえ。
でも、足の早さには
少々自信がありますからね。
見失わないように
急いで川岸を走って追いかけました。
時々声をかけながらね。
なのに星の子ったらわたしの呼ぶ声に、
「気持ちいいなあ。君も泳げたら良かったのに」
なんて言ってましたね。
〜つづく
2023年2月26日日曜日
エゾリスのナッツ
名前 ナッツ
好きな事 スケート、ゲーム
テーマカラー 青
好物 ナッツ入りのパン
好きな本 クイズ本、図鑑
工作と折り紙が得意
衣装 サロペット
宝物 光る石と虫眼鏡
(中標津町図書館キャラクター)
2023年2月25日土曜日
光る石
エゾリスのナッツが、虫眼鏡を手に
道端の石を観察していました。
「やあ。こんにちは、ナッツ。
いいもの見つけんたんだ。これ。」
キツネのリッキーがやってきて見せてくれたのは
古い地図でした。
「これ、宝物の地図だと思うんだ。」
「うわあ。すごい」
「街の雑貨屋さんにね、
見たこともない面白いものが沢山あるよ。」
ナッツは、早速
教えてもらったお店へ行く事にしました。
店に着くとすぐ、
ガラス張りのショーウィンドウの中に
素敵に光る石を見つけました。
薄桃色の光は、まるでお星様のように
キラキラとまたたいています。
「ああ、ごめんね。これはついさっき、
売れてしまったの。」
光る石を見つめるナッツを見て、
店のおかみさんは申し訳なさそうな顔をして言いました。
がっかりして帰る夕暮れの帰り道、足元にうっすら青く光る石を発見。
「やった!なんていう石だろう。
明日、図鑑で調べなくっちゃ。」
ナッツは図鑑で色々な物を調べるのが好きでした。
今まで知らなかった新しい発見をするのが楽しくて、
いつも図書館に出かけて調べ物をします。
「誰も知らない大発見かもしれない」
今日は、ベッドの枕元に石を置いて、
新しい冒険の夢を見ることにしました。
(中標津町図書館キャラクター エゾリスのナッツ)
2023年2月24日金曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話10(全15)
それでも、朝になったら
きっとなんとかなるさなんて、
木の上にあるリスの巣穴の中で
またのんきに眠ってしまったらしいんです。
でもね。ほら、その子ったら
寝相が悪いっていったでしょ。
眠ったまんま、またふらふらっと飛び出ちゃって。
たまたまその木の下にあった
わたしの巣穴の中に
転がり落ちてきたって訳なんですよ。
わたしもそりゃあ、びっくりしましたけどね。
でもまあ、もう一人分くらいの眠る場所はあるし。
わたしの巣穴の中に
一晩泊めてあげる事にしたんですよ。
そしたら、その子の寝相の悪い事ったら
ひどいんですよ。
あっちの壁にコロン、こっちの壁にコロン。
でもねえ、もう夜も遅いし、
そのうち、わたしもウトウトしちゃってね。
ボチャンって大きな音が聞こえるまで、
まったく気がつかなかったんです。
〜つづく
2023年2月11日土曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話9(全15)
一人前の星っていうのはね。
そりゃあ、夜空で立派に光ってるやつだそうで。
でもその子はまだ光が足りないらしいんです。
赤でも黄色でも、とにかくピカピカ光っていないと、
夜空では出番がないそうなんです。
その夜も全然出番がなかったんで、
雲のベッドで寝ていたそうなんです。
それがどうも寝相が悪いらしくってね。
はっと気がついたら、
真っ逆さまに落ちていってるところで。
ああ、このまま流れ星になって
消えちゃうのかなあなんて思っていたら。
どっこい、森一番の背の高い木に引っかかって。
最初に見つけてくれたリスの家族に
助けてもらったそうなんです。
〜つづく
2023年2月10日金曜日
キツネのリッキー
名前 リッキー
好きな事 音楽、占い、UFO
テーマカラー オレンジ
好きな本 冒険小説、音楽雑誌
夢は小説家
衣装 ブーツ、マフラー
宝物 古い世界地図
(中標津町図書館キャラクター)
2023年2月9日木曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話8(全15)
それがねえ。うれしい事にわたし、
その星の子の話す言葉が
わかったんですよ。
月に住んでいたっていう
ご先祖様のこともあるでしょうが。
それより、毎日夜空を見ていたおかげでしょうね、
きっと。
でもいったいどうやって、
あの空の星が
木の下にあるわたしの巣穴にまで
たどりついたんでしょう。
わたしが聞くと、
その子はピカリピカリ話しだしました。
〜つづく
2023年2月8日水曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話7(全15)
その日の夜も流れ星を一つ見て、
とてもいい気分で巣穴にもどりました。
でもしばらくすると、
外から石ころみたいな何かが
ころころところがってきて。
それがいやにトゲトゲ、ゴツゴツしていてね。
最初はハリネズミと間違えた程でした。
わたしが
「ずいぶんとがたぼこしているなあ」って言ったら、
その石ころは
「ぼく、まだ一人前の星じゃないんだ」
なんて言うんですよ。
なんと星のこどもだったんです。
ほら、あの夜空にピカピカしているお星様のですよ。
〜つづく
2023年2月7日火曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話6(全15)
でもね、それを聞いて
(はあ、なるほど)って思いましてね。
確かに満月の夜なんか、
特にどきどきして眠れなかったんですよ。
わたしはね、だったらいっその事
ゆっくり月をみた後にベッドに入れば、
きっとうまくいくんじゃないかと考えました。
それで寝る前はいつも星を数えたり、
月をながめたりしました。
しばらくそうして夜空をみていると、
ほっと安心して
ぐっすり眠れるようになったんです。
あっと、ここからが大事な話なんです。
うん、えへん。
〜つづく
2023年2月6日月曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話5(全15)
で、色々聞いてまわったところ、
二軒となりのアナグマさんの話なんですが。
実に良く当たるって評判の
占い師がいるらしくって。
まあ、アナグマさんていやあ、
もともとの宵っ張りなんで、
もちろん彼女の悩みは夜更かしじゃあ
なかったそうですが。
それが、どんな悩みも
すっぱり解決してくれるって噂でねえ。
それでわたしも一度、
その占い師のフクロウばあさんに
みてもらう事にしたんです。
はあ。そりゃあもう、驚きましたよ。
そのとき、フクロウばあさんに言われた事なんですが。
わたしのご先祖様は昔、
月に住んでいたっていうんですから。
〜つづ
く
2023年2月4日土曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話4(全15)
いや眠れないなら、
起きてりゃいいだろって事になるでしょうがね。
でも、そうもいかないんですよ。
わたしはね、夏になると畑で野菜を育てているんです。
いやあ、夏野菜はいいですよ。
もぎたての、みずみずしいきゅうり。
ああ、のどがなりますねえ。
それで、朝は早起きをして
涼しいうちに草むしりをしたり、
近くの川から水を汲んできて、
それをまいたりしなくちゃいけないんです。
でも夜更かしでは、朝早く起きられないでしょ。
ベッドに横になっても、
次の朝に早起きできるか、心配になっちゃって。
気にしだすとねえ、もっと眠れなくなっちゃうし。
もう、毎日それじゃあ寝不足になっちゃいますよ。
〜つづく
2023年2月3日金曜日
宝の古地図
キツネのリッキーの宝物は、古い世界地図。
街の雑貨屋さんで偶然見つけたものです。
何故か店の奥で誰にも忘れられて
ほこりをかぶっていました。
初めて見た時から
リッキーはピンときていました。
何にも書かれていないように見えて、
実は不思議な秘密が隠されている地図
なんじゃないかと。
お店のおかみさんも
「ああこれねえ。私も覚えていないんだけど、
なぜだかいつのまにここにあったのよ。
ちょっと不思議よねえ。」
と謎めいたことを言っていました。
「欲しいんなら、おまけしてあげる。」
「わ。やった!」
冒険小説の始まりみたいだなと
地図を眺めながら
今日もワクワクが止まらないリッキーです。
(中標津町図書館キャラクター キツネのリッキー)
2023年2月2日木曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話3(全15)
ああ、すみません。名前もまだでしたね。
わたしは、このずっとずっとさきの森にすむうさぎです。
おしゃべり好きなんで、みんなわたしのことを、
おしゃべりうさぎってよびます。
森では、大きな木の根元に巣穴を掘っていて、
夜はそこに眠るんです。
夏はひんやり涼しく、冬はぽかぽかあたたかく、
とてもいごこちがいいんですよ。
でもね。今年の夏、ちょっと困った事がありまして。
というのもね、どうにも夜になるとぱっちり目がさえて、
眠れなくなりましてね。
〜つづく
2023年2月1日水曜日
おしゃべりなうさぎの光る石の話2(全15)
わたしね、前にもこの桜の花びらのように、
やわらかな優しいももいろの光を見た事があるんです。
いや、わたしの物っていうのとは
ちょっと違うんですがね。
この石はもともとここに?
ああ。魚のお腹から…なるほどね。
わたしがどうしてこんな町なかまで来たのか、
それは不思議ですよね。
ほら見て下さいよ、この長い耳。
ほかのうさぎにくらべても
ずいぶん立派だと思いませんか。
いろんな音がね、それはそれは
よく聞こえる耳なんですよ。ええ。
そのおかげで、ここにたどり着いたって訳でして。
ほら。あそこの川沿いあたり、すごいでしょ。
土手に咲くセイタカアワダチソウが。
あの風にゆれて、おしゃべりする音。歌う声が。
サワサワ、ザザザ
ってね。
〜つづく
::::::::::::::::::::::::::
おしゃべりなうさぎの光る石の話2です。
このお話を書いている時は、うさぎがこちらを見てぐいぐいしゃべってくる様子が浮かんできて、その可愛らしい圧を想像するとなんだか書いていて楽しくなっていきました。
新しい投稿
前の投稿
ホーム
登録:
投稿 (Atom)