すずの音風の音(すずのねかぜのおと)
「はあ、雪じゃないんだ」そうたのつぶやきに、雪虫は小さな頭をゆらしながら答えました。「うん、そう。でも、あなたの言った『いちばん雪』っていうの。 案外、間違ってないかもね」 「え、そうなの?」そうたはゆっくりと立ち上がると、手をもぞもぞと前にさしだしました。 すると雪虫は、あたりまえのようにそうたの手のひらにぴたりと止まると、また話しはじめました。 〜つづく