「うわああ。」
足元の人形達につまずきそうになりながら、
急いで一階に下り、
あわてて自分の両手を確認しました。
さっき見えた細い糸はもうありません。
右手には、しんの折れた鉛筆。
左手には小さなスケッチブックを持っているだけです。
カウンターにはできたてのコーヒーが
良い香りをたてていました。
「良い絵はかけましたか?」
店主は、とむさんの折れた鉛筆を見ながら
ほほえむと、湯気のたつ
小さいカップを差し出しました。
後ろの階段を見ると、
まだ人影がゆらゆらと揺れています。
〜つづく
(9/10) 次回最終話。