左右の壁際には、
うねうねとした模様がうかぶ、
木彫りの低い棚がならんでいます。
その上に自分たちの出番を待つ
大小さまざまな人形が、
糸をたらして静かに座っていました。
ぼんやりくすんだ灯りのもと、
棚やテーブルにのっている人形達は、
顔だけが浮かび上がってみえます。
小さな顔の一つを見下ろすと、
長いまつげは真っ直ぐに正面を
見つめていました。
あの目が動いて、
急にこちらを向くのではないだろうか。
とむさんは、そんな気がして、
なかなか目をそらすことが
出来ませんでした。
〜つづく
(7/10)