よく見ると、灯りとりの小窓には
人形の絵が描かれているマッチ箱が、
兵隊のように一列に並んで続いています。
マッチ箱の兵隊がとぎれて、
ランプのともる二階の部屋に着きました。
灯りが揺れると、
それほど広くない部屋の角には、
いくつもの人形の影が、
こちらを笑っているように揺れています。
部屋の中央におかれている
大きなガラスケースの中には、
昔話の登場人物が並んで眠っていました。
正面には、ほうきにのった
かぎ鼻の魔法使いが細い糸で釣られています。
その隣には、大きな鎧の人形がヤリを右手に
こちらを睨んでいます。
部屋にいるのは人形だけでした。
「ランプの火がゆらいで、人影に見えたのか。」
とむさんは、鎧の人形を横目でみながら、
自分に言い聞かせるようにつぶやきました。
〜つづく
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