カタカタカタ、コト、カタン。
部屋の中央には、糸をかけた針金が何本もかかっている作業机。
その針金の糸がカタカタ揺れ、机の向こうに
虹色に光る布が波うっています。
揺れている機械からのぞき見えるのは
輝くドレスのすそでした。
そして椅子に座って一人作業をしているのは、
さっき雨の中でみかけた男の人です。
派手な赤いベストにチェックのズボン。
間違いありません。
「こんにちは。」
すみれさんの声に、男の人は
忙しく動かしていた手元からようやく目を離して、
こちらを振り返りました。
「はい?」〜つづく