窓ガラスに細い雨が流れています。
すみれさんは、こんな日には、
家で暖かいお茶を飲んで過ごす事にきめています。
でも、今日でもう三日目。
冷たい雨は、まるで絹糸のように細く長く、
とぎれることなく続いていました。
「毎日雨ばっかりねえ。」
すみれさんは、あみかけのセーターを
膝に置くと、お茶をひと口飲みました。
タンポポみたいな黄色の毛糸玉が、
足元のかごの中に山のようにつまれています。
こねこのみーは、さっきからかごのまわりをうろうろ。
ポンッとテーブルの上へ飛び乗ると、
黄色の山をねらって、かまえの体勢です。
「こらこら。」
すみれさんは、短いあまり毛糸を一本つまむと、
みーの首輪についている鈴の横にきゅっと結びました。
それはまるで、黄色のチョウチョがとまっているようにみえました。
「あら、かわいいじゃない。」
にゃおお、にゃおお。り、りん。
みーがテーブルから飛び降り、
窓に向かって勢い良く走り出しました。〜つづく
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今日からは、前ブログより、お話「すみれさんと雨」を転載します。
このお話は以前所属していた児童文学同人誌「宙sora」に掲載しました。
社会人向けの夜間児童文学講座で一緒になった仲間と一緒に、
講座終了後勉強会を続けたものです。
絵本やショートショートのような不思議な物語、
童話や長編の児童文学などそれぞれが好きな作品を書いて集まっていました。
毎回個性豊かな作品を読めて、
自分も学ぶことが多く、参加するのが楽しい集まりでした。