2024年2月14日水曜日

すみれさんと雨12(全16)

 

「私も一度くらい、そんなすてきなドレスを着てみたいな。

 でも、残念。予約で一杯なのね。」

「はい。せっかく来ていただいたのに、すみません。

 そうだ、見本の布地で作ったサービスの品です。

 こちらをどうぞお持ち下さい。」

 

仕立て屋さんはそう言うと、たくさんの布が入った箱の中から

きれいにたたまれた布を一枚取り出しました。

広げてみると、虹のドレスの端切れで作られた

七色に輝くスカーフでした。

 

「すてきなスカーフ。」

肩にまわして結んでみると、胸元がひんやりしました。 〜つづく