「これはね、電気自動車です。
これで、雲の粒をとりにいくんですよ。」
ドアの横にはミラーの変わりに、小さな羽根がついていました。
「そうやってその糸で仕立てた物は、そりゃあ光輝くドレスにぴったり。
縫い目がいっさいわからないくらい、美しい仕立物が出来上がります。
もう、注文はひっきりなしでね。今、新しいお客様は
受け付けていないんですよ。申し訳ありません。」
仕立て屋さんは、すみれさんに向かって頭をさげました。
「え、いいえ。私はそんなつもりじゃなかったんだけど‥‥。」
仕立て屋さんが手にしているドレスは、
角度を変えてみると、虹のように光っていました。
「でも、ちょっと残念ねえ。」 〜つづく