かわむらすずみ えほんのおはなし
すみれさんは、気がつくと淡い光が届く空間に
ひとりぽつんと立っていました。
目の前には人ひとり通るのがやっとの細い穴が、
なだらかなくだり坂のように続いていました。
ふりかえるとさっき覗き込んだ丸い水たまりが見えます。
そこが入口のようでした。
光る玉を中心に、雨の波紋が
糸巻きのようにくるくると忙しく回転しています。
水たまりからは細い糸がピンとはられて
あなの奥へ続いています。
糸がゆれると、あたりの壁はきらきらと虹色に反射しました。〜つづく