2024年2月8日木曜日

すみれさんと雨6(全16)

 

すみれさんは、気がつくと淡い光が届く空間に

ひとりぽつんと立っていました。

目の前には人ひとり通るのがやっとの細い穴が、

なだらかなくだり坂のように続いていました。

 

ふりかえるとさっき覗き込んだ丸い水たまりが見えます。

そこが入口のようでした。

光る玉を中心に、雨の波紋が

糸巻きのようにくるくると忙しく回転しています。

 

水たまりからは細い糸がピンとはられて

あなの奥へ続いています。

糸がゆれると、あたりの壁はきらきらと虹色に反射しました。〜つづく