2023年1月26日木曜日

親友の話


 空に浮かぶ雲をながめることが好きな
クマのくまださん。
晴れた日には、ティーセット入りのバスケットをさげ、
お散歩に出かけます。
空が大きく見えるいつもの丘へ向かう途中、
耳元で声が聞こえました。
一年に一度だけ会えるくまださんの親友、
雪虫の声です。
「今日は少し暖かだね」
「おや。雪虫君、今年も会えた!」
「やあ、元気だった?昨日面白い子に会ったよ」
「どんな?」
雪虫は話を始めました。
 
「おっちょこちょいの子がさ。
 僕を食べちゃおうとしててね。
 ぽっかり口を開けている様子が、
 おっかしくて、笑っちゃったよ。」
「あはは、面白いね。」
「うん。おっと、そろそろ行くね。
 じゃあ、また来年!」
雪虫はそういうと、柔らかく舞う綿毛のように
飛んで行きました。
「ああ、また来年会おうね!」
(もうすぐ雪が降るんだ。ふふ、
 暖かい部屋でじっくり推理小説を読もう。
 今から楽しみだな)
くまださんは、またウキウキ歩き出しました。
(中標津町図書館キャラクター クマの くまださん)